あっという間に随分経ってしまいましたが、
ようやく少し落ち着いたので個展のお話を改めて。。
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過ぎ去るものと永遠。
時とは絶えず移ろい、死へと運命つけられている有限のもの。
生というものの儚さと哀しみ。
「Sanctum」とは「聖所」「自分だけの私室」「神聖な場所」
聖所は聖書では聖櫃の置かれた神殿。
そして痛みや哀しみを受け止める心の場所という意味を持ちます。
儚さや傷みや哀しみを受容する中で静かに存在する美。
心の場所、ひとりひとりが心の中に内包する自分だけの聖所。
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今回、というよりは自分の作品制作において不変的なテーマでもありますが、
このような想いと共に作品を制作しておりました。
なので自分の中では哀しみや切なさの先にある、
それらを内包した美しさというのが全ての作品へ込めたことでしたが、
一見すると寂しそう、哀しそうに感じるので、
御覧下さった方が哀しい気持ちになってしまうかなとか、
伝わるかなというような不安はありました。
でも訪れた皆様が癒された、浄化された、
哀しいことがあったけれど絵の中の少女たちの凛とした姿を見て勇気をもらえたなど、
そのようなお言葉を沢山頂き、作品を前に涙する方も何人もいらっしゃったり、
そして今回は殊に皆様が何度も何度も作品をじっくりと御覧下さり、
あの空間に長く滞在して下さる様子がとても印象的でした。
それぞれに作品と心寄せて下さり、そして私が伝えたかったことを感じ取って下さり、
お心に小さな灯をともして下さったことが、とても嬉しく、幸せに思いました。
例えば初日のオープン前からずらりと並んで下さったり、
お客様で溢れ返るような熱狂的なことなどは全くなく、
(勿論それはそれで素晴らしいことだとは思います)
しかし、お客様がじっくりと作品と向き合う姿を拝見することも嬉しく、
作品とお客様との御縁というのも強く感じることも多くあり、
日々穏やかで静けさを保ちつつも、
日々奇跡のような幸せの瞬間があり、
そのような作品と、空間と、お客様の関係性というのはとても素敵なことだなと改めて感じました。
そして気付けば多くの御縁を紡ぐことが出来、とても幸せに思います。
このような日々の中で、自分の作品の在り方、
そして自分自身の在り方のようなものを改めて考えさせられました。
作品も自分自身も、たとえささやかであっても
心寄せて下さる方々のために在り、その方々へ想いや祈りをきちんと届けることが出来たら、
それはとても幸せなことなのだと思いました。
今まであまりなかったのですが、
今回は会期前に異様に周りの反応や色々なことが気になってしまい、
随分とナーバスになり落ち込んだりふさぎ込んだりしてしまい、
そんな自分の心にも戸惑い、どうして良いのか分からなくなるような時もあり、
今となってはお恥ずかしい限りですが。。。
しかし皆様の作品を御覧頂く様子や、頂いたお言葉に、
自分が気にしていたことは全く必要のないことだったと、
これが何より素晴らしく尊いことだと、
皆様のおかげで私の方が沢山励まして頂き、糧を頂き、学びを頂いたような気持ちです。
本当にありがとうございました。
私にとってもとても想い出深い個展となりました。
ネクラなのでこれからもハッピー♪イエーイ♪みたいな絵は描けないと思いますが、
心の機微と共にある美しい強さのようなものを描いて行けたらと思います。
皆様のお心にも白薔薇の小部屋の想い出をいつまでも残して頂けましたら幸いです。
お越し頂けなかった方々もお心を寄せて下さり、
お言葉やお心遣いに心より感謝しております。
そしてこれからも精進を重ねて参りますので、
どうぞ御贔屓に見守って頂けましたら幸いに思います。
これからも絵描きとして生きていきます。